雨の中、傘をさして税務署に行き、個人事業開業届と青色申告承認申請書を出してきた。
人生の中ではけっこう大きな出来事だと思うので、いつにするかとか、どんなふうにするかとか、いろいろ段取りを考えてはみたものの、これといって特別な日取りも思いつかず、時間の空いた時に行ってくるかと出かけて行って、事務的にコトを済ませたような感じになってしまった。
税務署に行くのはマンション買った時に確定申告に行ってから2回めだが、その時がやたら混んでて待たされたので、少しは覚悟して行ったのだが、雨の平日の昼飯時とあってか、数人書類待ちの人がいるだけで、すぐ窓口に通され、書類を受け取り、書いて出してポンポンはんこを押してもらって、「もう終わりですか?」と言って税務署を後にしたのであった。
もうちょっと手こずったり待ったりしたら少しは「人生の一大事」になったのかも知れないが、まあそんな簡単に済んだこともあり、いささか拍子抜けして、とりあえず帰り道に撮り忘れてた写真を坂の下から撮る程度で、家に帰ったのであった。(税務署の入り口まで引き返そうとも思ったが暑さと坂道に挫折)
ただ、雨の中を出かけた、というのは、なかなかよかった。
まだそこまで急いでもなく、わざわざ雨の中でかけなくても明日でもいいところを、したくして傘さして雨の中を歩いて用事を済ました、というのは、面倒くさがりでなにかと先延ばしにしては人に迷惑をかけてきた自分としては、客観的に見てかなりおりこうさんの部類に入る。(ほんとは昨日行くつもりが今日になって、雨にあたったのではあるが…)
自分の人生に責任をもって、ちゃんと生きる。
今の自分にとって、独立は人生ではじめての自立であって、人に頼らず、迷惑をかけず、自分で決めた道をしっかり歩いていくことのはじまりなのである。
雨はいやだけど、それも気の持ちよう。たとえば髪をばっちりセットして、スーツを着、革靴を履いていたら、雨に濡れたくないと思うけど、汚れてもいいTシャツで、裸足にビーチサンダルを履き、坊主頭で出かければ、濡れることくらいたいしたことないと思える。
忙しくなるかもしれない、貧乏になるかもしれない、辛いことがあるかもしれない。でも自分の意思で、自分のやり方で、それにあたっていけるのであれば、乗り越えることはそれほど苦しくないように思う。今までのように、自分ではどうにもならないことに思い悩み、前に進めないでいるよりは。
税務署に入る時に降っていた雨は出るときにはやんでいて、明るい雨上がりの帰り道は気分も晴れやかで、ふとそんな思いが頭に浮かんだのだった。
そろそろ梅雨も空けて、本格的な夏がくることだろう。
これからはじまる新しい人生に、まるで夏休みをむかえる小学生のように、心が踊る41才の夏なのでした。